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2022.03.10

【世界で進行するMaaSの実態とは?】MaaSがもたらす移動革命!

皆さんは、MaaS(マース:Mobility as a Service)という言葉をご存知でしょうか?ここ数年来、世界で普及し始めている概念です。MaaSとは、ITによって、電車・バス・タクシー等といった様々な公共交通機関をスムーズかつ便利に利用できるようにするシステムのことです。身近な例を挙げると、カーシェアリングやシェアサイクルもMaaSに含まれるサービスと言うことができます。2010年代以降、スマホが急速に生活の中に浸透したことで、このMaaSも連動するように広がりつつあります。スマホのアプリを使ってタクシーを呼んだり、財布を持たなくても、電車やバスに乗ったりすることが、当たり前の世の中になってきました。MaaSは特に海外において普及率が高く、日本はまだまだこれからだと言えるかもしれません。今回の記事では、海外のMaaSの状況を取り上げて、ご紹介していきたいと思います。

MaaS誕生国・フィンランド

他国に先駆けて、2017年にフィンランドの首都ヘルシンキで、MaaSが開始されました。フィンランドでは、運輸通信省が支援することによって、マース・グローバル社がウィム(Whim)というMaaSアプリを開発して、すでに実用化されています。利用者はウィムに目的地を入力すると、いくつかの適した経路と交通機関、そして料金が提示されます。この中にはカーシェアリングやシェアサイクルも含まれており、レンタカーの場合は車種も選択できるということです。ウィムの料金システムには、30日間59.7ユーロ(ウィム・アーバン)・同249ユーロ(ウィム・ウィークエンド)・月額499ユーロ(ウィム・アンリミテッド)・利用ごとの決済(ウィム・トゥ・ゴー)といったプランがあり(2019年10月現在)、利用者のニーズに合わせたメニューが用意されています。ウィム・アンリミテッドについては、文字の如く、ヘルシンキ内の全ての交通手段が無制限に利用できるというもので、かなり画期的なサービスと言えるでしょう。移動の多いヘビーユーザーにとっては、この上ない選択肢です。そもそもフィンランドでMaaSがスタートした背景には、自国産の自動車メーカーが存在しないことと関連しています。つまり、フィンランド国民は、自家用車を購入すると、そのお金は国外に流出してしまうことを意味します。そこで国が援助して、MaaSを構築することで、公共交通網の利便性の向上を図り、交通手段に関わるお金を国内の交通事業者に還流させるようにしたという訳です。また、フィンランド国民の環境意識の高さや交通事故を減らすという目的からもMaaSが上手くはまって、普及を推進したと言えるでしょう。

世界でMaaS事業を展開・イスラエルMoovit社

アメリカの半導体大手インテルの傘下にあるMoovit社は、世界展開を目指すイスラエルのMaaSプラットフォーマ―です。Moovit社は2012年に設立されましたが、その開発したアプリは、2020年現在で、世界112ヶ国の3,400都市をカバーしています。45言語に対応し、9億3000万人以上にサービスを提供しており、まさにMaaS業界の巨人企業と言えるでしょう。Moovitの特筆すべき点としては、Moovitersと呼ばれる交通データ提供者の存在があります。交通事業者からはもちろんのこと、70万人以上のMoovitersが日々交通情報を集めて、提供することで、交通のビッグデータが成立しています。この膨大なデータ量は交通分析に応用されて、Moovit社の事業展開を加速させる原動力になっています。Moovit社は2020年にインテルによって買収されましたが、今後同じくインテル傘下で自動運転の開発を手掛けるMobileye社とのコラボに注目が集まっています。

台湾でもMaaSが拡大中

台湾でもすでにMaaSへの取り組みが始まっています。台湾南部の高雄市では、フィンランドのウィムに似たMen-GO(メンゴー)というMaaSアプリが普及しています。ウィム同様に目的地を入力すると、最適な経路案内が表示され、バス・タクシー・地下鉄・シェアサイクル等あらゆる交通手段が乗り放題になる月額プランもあります。高雄市ではMaaSの導入に伴って、シェアサイクル専用の自転車置場や自転車専用道路も整備されました。ただ、MaaSを取り入れるだけではなく、付随する環境整備もしっかり実施していることは、さすが台湾です。MaaSが普及する最大の利点は、公共交通機関の利用を促して、自家用車の利用を減らすことで、クリーンな街づくりが実現できるということです。世界は今、脱炭素化社会を目指していますから、MaaSの拡大によって、温室効果ガスの排出を抑制し、環境負荷を低減できることは、時代の要請に適っていると言えるでしょう。

スマート社会の先端を行く中国

さて、最後に中国の状況について、見てみたいと思います。中国はMaaSを含むITを駆使したあらゆるサービスにおいて、世界の先端を走っていると言えます。MaaSが大きく普及するポイントしては、まず決済がアプリで行われなければなりません。ここがネックになると、MaaSの価値が発揮されず、普及の足かせとなります。現在中国は日常生活のあらゆる場面において、アプリ決済であり、現金を使う人はほぼ皆無の状況になっています。中国政府も世界に先駆けてデジタル人民元の運用をすでに開始したほどです。プラットフォーマ―としては、アリババとテンセントという2大企業集団が圧倒的なシェアを占めています。その決済システムであるアリペイ(支付宝)と微信支付(ウィチャット・ペイ)は不可欠な支払い手段となっており、日本をはじめとする海外でも利用できるようになっています。アリババとテンセントが提供するITサービスは、先述の決済システムをベースとして、中国のMaaSを支える重要インフラとなっています。ちなみに日本市場にも参入しているタクシー配車サービスの滴滴(ディーディー)も中国企業ですが、もちろんこの2社のアプリから利用することができます。中国はハード面でもいち早く電気自動車大国に変貌しており、これからMaaSとの連携が期待されるところです。電気自動車がIoTとなって、無人の交通機関が増えてくる可能性も考えられます。空飛ぶタクシーまで登場するという報道もあり、今後の動向から目が離せません。

まとめ

本文でも触れた通り、MaaSの普及にはアプリ決済との一体化が欠かせません。日本でも徐々にアプリ決済の利用が増えつつありますが、まだまだ現金主義が根深いように思われます。日本で今一つMaaSが一大センセーショナルにならないのは、このあたりに要因があるのかもしれません。日本は新しい取り組みがなかなか進みにくい土壌がありますが、これからMaaSにおいても色々なサービスが出てくることに期待したいと思います。世界は確実にMaaSの更なる高度化を目指して進んでいます。そういった世界の潮流から取り残されない為にも、日頃から海外のビジネス事情をリサーチして、状況を把握しておきたいところです。そして、Resoryではそのようなお手伝いをさせて頂くことが可能です。Resoryでは、世界各国で活躍する業界エキスパートと強力なネットワークを構築しており、インタビューやアンケートなどを通じて、インターネットや既存メディアでは決して入手ができない海外ビジネスの活きた生情報をご提供させて頂くことができます。マーケティング・リサーチにおいては、リアルタイムで海外の市場動向をいち早く把握しておくことが、何よりも重要です。コロナ禍で自由な海外渡航が、まだまだ制限されている今こそ、Resoryをご活用頂いて、皆様の海外マーケティング・リサーチの一助として頂ければ幸いです。海外のマーケティング・リサーチでお困りの場合は、是非一度Resoryまでお気軽にご相談下さい。