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2022.02.14

【5Gが航空機の電波高度計に支障?】アメリカにおける5G展開の問題

いよいよ世の中の携帯電話が5G時代に突入してきました。5Gとは第5世代移動通信システムのことで、現在の4Gよりも高速・大容量・低遅延が実現され、格段に利便性が高まります。日本では昨年の春頃から本格的にサービスが始まりましたが、まだまだ4Gの携帯電話を使っている人が多いのではないでしょうか。世界で真っ先に5G大国に入っているのは、やはり中国です。すでに普及率は20%以上で、今後加速的に5Gへの切替が進んでいくものと思われます。そしてアメリカですが、日本よりは少し早く2019年から5Gの展開が始動しました。ところが、最近アメリカで5Gの利用を巡って、ちょっとしたトラブルが発生しています。5Gで使われる周波数の電波が、航空機の計器に干渉する可能性があると、航空当局などによって指摘されました。アメリカの大手携帯電話キャリアも、空港周辺での5Gサービスの展開を見合わせる事態となっています。果たしてこの問題はアメリカだけなのか、日本やその他の国では同様の障害は起こらないのか、気になるところです。今回はこの問題の背景と5G普及を取り巻く状況について、見ていきたいと思います。

5Gが航空機の電波高度計に支障?

アメリカではAT&Tやベライゾンといった大手携帯電話キャリアが、一部の空港で5Gによるサービスを開始しようとしています。ところが、最近になってアメリカ連邦航空局などが、5Gは一部の航空機に対して、高度を計測する電波高度計に支障を来たす可能性があることを指摘しました。これにより5Gのサービス開始が当初より延期され、航空便の欠航が相次ぐ事態となりました。AT&Tやベライゾンは、滑走路など空港周辺でのサービス提供を見合わせることで合意しました。また、日本の全日空と日本航空もこれに追随する形で、日米間を結ぶ一部の便で運航を見合わせるなど影響が出ました。全日空と日本航空は、機体メーカーのボーイング社が、電波高度計が干渉を受ける可能性があると指摘している777型機の運航を取り止めました。今後、安全上の問題が無いことが確認された上で、運航再開となる見込みです。

電波高度計について

電波高度計とは、航空機から地上に対して電波を発射し、その跳ね返ってきた時間を計測することで、高度を確かめる装置です。主に離着陸する時など、空港周辺において使われます。電波高度計に支障が出た場合、前述の777型機では、機体の姿勢制御において、影響を受ける可能性があるとのことです。日本国内では、5G基地局の設置の際、航空機の運航に影響が無いことを総務省が確認しています。また設置後も支障が出たという報告は、航空会社からは出ていないようです。

周波数の問題?

5Gの電波は大きく分けて、周波数が低くてカバーする範囲が広いsub6と周波数が高くて、高速・大容量で使えるミリ波という2種類の周波数を利用します。アメリカのAT&Tとベライゾンは、sub6の3.7GHz~4.2GHzを周波数オークションで落札しました。そして、この周波数の隣となる4.2GHz~4.4GHzは、以前より電波高度計で使われています。アメリカ連邦航空局が指摘しているのは、まさにこの点で、隣り合わせの周波数帯同士で干渉が起きるのではないかとしています。フランスなどでは、空港近辺で5Gの出力を下げて、電波高度計に影響が出ないようにしています。しかし、この問題はアメリカの5Gサービスの周波数が、航空機の電波高度計の周波数と隣接していることに起因しています。したがって、前述の通り、日本においては、調査を行って電波干渉しないことを確認済みでもあり、一先ず問題無く5Gを利用することができるとの見方で、安心して良さそうです。

5Gの普及について

さて、最後に冒頭でも触れた中国の5G状況について、参考までにご紹介しておきたいと思います。中国の工業・情報化部の報告によると、昨年8月末時点で、スマホを含む5G端末の接続数は4億1900万、国営大手キャリア3社の携帯電話契約数は16億2600万にも上っているとのことです。また、中国は2023年までに5Gの個人ユーザー普及率を40%以上に、ユーザー数を5億6000万人以上に高めていくという計画も発表しています。この計画では、5Gネットワーク接続通信料が占める割合は50%以上になって、5Gネットワークの使用効率も大きく上がるとしています。2023年になると、1万人あたりの5G基地局数も18基以上になるとし、世界に先駆けて、5G大国を作り上げることになりそうです。IT・通信分野での中国の躍進には凄まじいものがありますが、次世代通信ネットワークの構築においても、世界をリードしていくことは間違いないでしょう。ちなみに韓国やクウェートなどでも5Gのユーザー普及率はすでに20%を超えているとされ、世界で5Gへのシフトが加速しつつあります。日本も昨年末に岸田首相が、5G基地局の人口カバー率を2023年度には9割に引き上げると表明し、整備が急ピッチで進められていくものと思われます。

まとめ

飛行機に搭乗すると、必ず携帯電話の電源をオフにする或いはマナーモードにすることが求められます。携帯電話の電波が航空機の計器類に何らかの影響を与える可能性があることは、私たちも素人ながら理解できているのではないでしょうか。今後、電子・通信機器が高度化するに連れて、このようなデリケートな類似の問題は、新たに発生してくるのかもしれません。便利な生活を享受できるようになる一方で、各個人が心掛けて、配慮することがますます必要になってくるでしょう。5Gの処理能力の高さには素晴らしいものがあり、安心して利用できる時代の到来が待ち遠しいところです。そして、使い易くて高品質な5Gスマホの登場にも期待したいと思います。Resoryでは世界各地でマーケティング・リサーチ業務を行っています。今回取り上げた5Gやスマホ業界などトレンドになっているビジネスから、様々な市場や業界動向に至るまで、世界各地でマーケティング調査を展開しています。Resoryの強みは、世界各国で活躍する業界エキスパートとの強力なネットワークと協業体制を構築していることです。インタビューやアンケートなどを通じて、インターネットや既存メディアでは決して入手ができない海外の活きた生情報をご提供させて頂くことが可能です。特に最近流行している話題のビジネスにおいては、リアルタイムでの海外の状況を把握しておくことは、非常に重要であると考えています。コロナ禍で自由な海外渡航が、まだまだ制限されている今こそ、Resoryをご活用頂いて、皆様の海外マーケティング・リサーチの一助として頂ければ幸いです。海外のマーケティング・リサーチでお困りの場合は、是非一度Resoryまでお気軽にご相談下さい。