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2021.12.22

【中国は電気自動車の戦国時代!!】電気自動車へのシフトが急加速する中国の今

世界一の自動車大国・中国。中国の2020年の自動車販売台数は2,531万台で、世界第一位です(シェア32.46%)。ちなみにアメリカは1,445万台で第二位、日本は459万台で第三位となっています。そして、中国は電気自動車においても、世界の市場を牽引しています。特に今年に入ってからは、電気自動車の販売台数が大きく伸びており、中国の自動車販売台数に占める割合が、10%を超える水準にまで達しています。世界的な脱炭素化を求める流れに沿うように、中国では電気自動車の存在感が増してきている状況です。上海には既にテスラのギガファクトリーが設立され、順調に稼働しています。また、この他にも中国ローカル系の電気自動車専門メーカーも相次いで誕生しており、世界の他国に先駆けて、いち早く電気自動車大国になることは間違いないでしょう。日本ではようやくテスラをよく目にするようになった状況ですが、まだまだ電気自動車が身近な乗り物という感覚は希薄なのではないでしょうか。しかし、世界は確実に主役が電気自動車に取って代わりつつあります。今回の記事では、中国の電気自動車市場にスポットを当てて、電気自動車と深くかかわりのあるEV充電スタンドの状況にも触れながら、解説していきたいと思います。

中国・電気自動車市場の最新動向

中国の電気自動車市場の最新動向について、もう少し詳しく見てみたいと思います。今年12月10日、中国自動車工業会が発表したところによると、今年11月の自動車販売台数は252万2,000台で、対前年同月比では9.1%の減少となりました。これは昨今話題になっている半導体不足の影響や新型コロナが大きく関係しています。ところが、自動車販売台数の内訳を見てみると、乗用車219万2,000台(対前年同月比▲4.7%減少)、商用車33万台(同▲30.3%減少)なのに対して、電気自動車を中心とする新エネルギー車の実績については、45万台(同+2.2倍増加)となっており、単月ベースで初の40万台超えとなりました。今年1月から11月の新エネルギー車の累計販売台数も299万台(対前年同期比+2.7倍増加)となり、中国の自動車販売台数の全体に占める割合が12.7%に達しています。ガソリン車から電気自動車などの新エネルギー車へのシフトが、いかに急加速しているかが理解できると思います。また、中国の乗用車市場信息聯席会は、来年2022年末には新エネルギー車の乗用車販売台数に占める割合が、20%を超えるであろうとの見方を示しており、今後も堅調な需要が持続していくものと見込まれています。

テスラ・上海ギガファクトリー

冒頭で触れたテスラの上海工場について触れておきたいと思います。テスラの上海工場は「ギガファクトリー」とも呼ばれており、2019年に稼働を開始しました。敷地面積が86万㎡にもおよぶ巨大な完成車工場で、テスラ初の海外工場です。上海工場で製造される電気自動車は、中国国内向けの他に、ヨーロッパやアジア太平洋地域などへも既に輸出が開始されています。今年10月の工場出荷台数は約5万4,000台、そのうち輸出向けが約4万台に上っています。単月で初めて輸出向けが4万台を突破し、過去最高記録となりました。また、現在年間の生産能力は45万台あまりですが、今後の需要拡大に備えて、来年にかけて更なる拡張工事も予定されています。テスラが電気自動車へのシフトが急速に進む中国において、初の海外工場を構えた意義は大きいと言えます。今後、メイドイン・チャイナのテスラ車が、世界中で見られることになるでしょう。

中国電気自動車メーカーの台頭

さて、電気自動車大国に突き進む中国で、特に勢いのある主要なプレーヤー(メーカー)について、ご紹介したいと思います。中国には電気自動車専門のメーカーが多数存在しています。ガソリン車よりも車両構造がシンプルかつ組立てが容易なこともあって、中国では新エネルギー車分野における新興企業の参入が相次いでいます。まさに中国は電気自動車の戦国時代とも言える群雄割拠の状態です。トレンドの創出に長けている中国企業ならではのスピード感で、関連市場がますます活況を呈してきています。

BYD

1995年創立の中国を代表する民営自動車メーカー。ガソリン車も製造していますが、BYDと言えば、電気自動車の方が有名と言えるでしょう。今年11月の新エネルギー車の生産台数は91,829台、今年の累計生産台数は約51万台に達しています。世界を代表するアメリカの投資家であるウォーレン・バフェット氏も同社に投資しています。また、昨年には、トヨタ自動車と電気自動車の研究開発において、合弁会社を設立することでも合意しました。

蔚来汽車(NIO)

2014年に設立された新興の電気自動車メーカー。2018年にはニューヨーク証券取引所に上場しています。今年1月には初の自動運転型車両ET7を発表しました。特筆すべき点として、全アルミニウム合金車体の電気自動車ES8が挙げられます。これは7人乗りのSUV車で、4.4秒で時速0~100㎞で加速することができ、1回の充電で最大500㎞まで走行が可能です。

小鵬汽車

2014年に広東省の広州で設立された電気自動車メーカー。「Xpeng」のブランドで、主に乗用車の中高級セグメントを対象として、製造・販売展開をしています。SUVタイプのG3シリーズと4ドア・スポーツセダンのP7シリーズが主力車種です。小鵬汽車の造型デザインの理念は「簡潔と実用」。国内外のデザイナーを結集して、実にスタイリッシュなデザインの電気自動車を製造しています。

理想汽車

2015年に設立された電気自動車メーカー。今年8月には香港で上場を果たしました。戦略的ブランド車である理想ONEは、中大型のSUV車で、2019年に生産を開始しました。今年11月の中大型SUV車の販売台数において、理想ONEは13,438台と第一位を獲得し、第二位の車種と2倍以上の圧倒的な差をつけました。対前年同月比でも190.2%の増加と大きな飛躍を遂げており、今後の理想汽車のシェア拡大が期待されます。

中国の電気自動車業界は、外資系のテスラ、そして上述の4社を中心として、市場競争が激化しています。これらの他にも電気自動車メーカーは多数あり、一般ユーザーとしては、よりハイクオリティーな電気自動車の登場が楽しみなところです。

EV充電のソリューションプロバイダー

電気自動車の普及に欠かせないのは、街中に設置される充電スタンドです。電気自動車の利用者が増加しつつある中国では、並行して充電スタンドと関連サービス市場も成長の最中にあります。特に中国で有名な2強について、以下見てみたいと思います。

星星充電(スター・チャージ)

中国の電気自動車向け充電スタンド市場で、シェア27.3%の第一位。2021年における電気自動車向け充電スタンドを設置している中国の都市数は350都市。
今年8月末における充電スタンドの保有台数は220,750台です。プライベート用の保有スタンド数については、66,535台で圧倒的です。

特来電(TGOOD)

星星充電に次ぐシェア第二位で、占有率は21.7%。同じく2021年の充電スタンド設置都市数は349都市。今年8月末における充電スタンドの保有台数は、
227,085台で、星星充電を若干上回っています。プライベート用スタンド数については、1,173台で星星充電とは大きな開きがある状況です。

まとめ

かつては眠れる獅子と言われた中国。ここ数十年の目覚ましい経済発展は、決して人口の多さだけが要因ではなさそうです。今回取り上げた電気自動車のように、未来のトレンドを先取りして、素早くビジネスに着手していく中国企業の実行力こそが、経済飛躍の原動力になっていることは明らかでしょう。ニューエコノミー分野におけるビジネスのお手本は、日本のすぐお隣の中国にもあることを意識しておきたいところです。Resoryでは世界各地でマーケティング・リサーチ業務を行っています。特に中国市場の動向については力を入れており、中国現地のエキスパートとの協業強化にも取り組んでいます。インターネットでは決して入手できない海外の生情報をお客様にご提供させて頂くことが可能です。Resoryをご活用頂いて、皆様の海外マーケティングの一助として頂ければ幸いです。海外のマーケティング・リサーチと言えば、是非お気軽にResoryまでご相談下さい。