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2021.12.10

【総合フィンテック企業・中国平安保険グループの躍進!】平安保険グループの何がスゴい?

好調な経済成長をキープする中国では、生命保険や損害保険の市場拡大が続いています。よく日本人は保険好きと言われますが、これは豊かな生活を営める裏付けがあってのことでしょう。そして、人々の生活レベルが向上しつつある中国でも、保険に回せる資金的な余裕が生まれてきており、保険市場の成長につながっていることは言うまでもありません。あるデータによると、国別の生命保険料収入規模(2020年・ドルベース)は、アメリカ(22.6%)、中国(12.4%)、日本(10.5%)で、中国は世界第2位となっています。損害保険(2017年・元受収入保険料)については、アメリカ(37.16%)、中国(10.02%)、ドイツ(5.64%)、日本(5.14%)という状況です。何れも中国が世界で高いシェアを占めていることが分かります。そのような保険業界にあって、今一躍注目を集めているのが、中国の「平安保険グループ」です。生損保の他に銀行・投資・インターネット金融サービスを展開する総合フィンテック企業で、日本にも拠点を構えています。保険を超えてどのようなビジネスに取り組んでいるのか、保険業界にとどまらない平安保険グループとは一体何が違うのか?今回はその実状に迫ってみたいと思います。

平安保険グループのアウトライン

平安保険グループは1988年に中国の深圳で創業しました。社員たった13名の民間保険会社としてスタートし、以来約30年間にわたって成長を続けて、現在では中国全土に150万人以上もの従業員を抱える規模にまで発展しました。グループの総売上高(2020年実績)は約21.8兆円、世界の企業ランキングであるFortune Global 500においては、2020年が世界第21位、2021年が世界第6位という輝かしい実績を誇っています。まさに時代の寵児と言える企業でしょう。祖業の保険ビジネスについては、中国の生命保険業界における市場シェアは16.7%で第2位(2019年)、損害保険業界でも21.05%の第2位(2018年)となっており、押しも押されもせぬ確固たる地位を築いています。

総合フィンテック企業として

平安保険グループは保険から始まり、現在では様々な金融やオンラインサービスも手掛ける総合フィンテック企業に成長しました。AIやビッグデータを駆使し、顧客満足度の向上を重視した戦略が功を奏しています。保険とその他あらゆるサービスを組み合わせて提供することで、顧客あたりの契約金額が増加することにつながっています。特にオンラインサービスの構築と投資に注力していることが、平安保険グループのビジネスモデルの特徴と言えるでしょう。以下で代表的なサービスを具体的に見ていきたいと思います。

陸金所(Lufax)

平安保険グループが運営する世界最大級のデジタル資産管理プラットフォーム。約20万人の顧客に対して、ネットを通じて資金の貸借を仲介するP2Pサービスやオンライン融資などの金融サービスを提供しています。運用資産残高は約60億米ドルで、中国最大のノンバンク資金供給者でもあります。

平安好医生(Ping An Good Doctor)

世界最大のオンライン医療プラットフォーム。医者と患者がオンラインを通じて診察を行うことができ、いわゆる遠隔医療を実現しています。また薬を手配することも可能です。登録ユーザー数は約2億5000万人。急速な高齢化社会が進み、医療機関が充実していない地方の農村部を多く抱える中国において、大きな顧客支持を得ています。2018年には香港で上場も果たしました。

平安万家医療(Ping An Wanjia Clinic)

クリニックと患者をつなぐオンラインプラットフォーム。中国の主に個人クリニックの情報が登録されています。プラットフォーム上では、ユーザーが医師のプロフィール確認や診療予約を行うこともできます。中国の約50%の個人クリニック向けにサポートを提供しており、医療機関情報の発信に貢献しています。

この他にもネット決済の「壱銭包」、資産運用や財テクの相談ができる「平安天下通」、自動車販売ウェブサイトの「汽車之家」、ネット損保の「衆安保険」など様々なオンラインサービスを展開しています。本業の保険をベースに医療などのヘルスケア、そしてITと金融を複合的に組み合わせていることが理解できると思います。オフラインからもオンラインからも顧客獲得が可能なようにビジネス設計がなされており、平安保険グループならではの総合力でシナジー効果が発揮されています。実際に2016年においては、新規顧客数全体に占めるオンライン経由による獲得数が22.3%となっています。また、2016年上半期では、オンライン金融の顧客のうち23%が生命保険に加入したという実績もあります。今後もますますネットを入り口としたユーザー開拓が進んでいくものと予測されます。

平安保険グループの投資事業

もう1つ平安保険グループの戦略として特筆しておきたいのが、対外投資事業です。日本企業との取り組み事例としては、漢方薬大手のツムラの筆頭株主となって、中国で漢方薬の合弁工場を立ち上げました。また、日本にも平安ジャパン・インベストメントという現地法人があり、日本企業の中国における事業展開や必要な資金の投資サポートを行っています。自社の事業と同じく、ヘルスケアやメディカル業界への投資にウエイトが置かれています。以下は、中国国内における主な対外投資事例です。

雲南白薬

中国人なら誰もが知っている中国で最も有名な医薬品会社の一つ。ブランド

力も中国有数の地位にあります。

美年大健康

中国で最大規模を誇る健康診断及び人間ドックサービスを展開する会社

解碼(上海)生物医薬科技

中国トップのDNA検査サービス会社

緑地集団

中国第2位の不動産会社。不動産を本業とする企業グループとしては、中国トップクラス。

海家化集団(Jahwa)

中国を代表する家庭用化学製品(洗剤など)・衛生用品・化粧品のメーカー

まとめ

中国の改革・開放政策が始まったのが1978年。1982年にはこの広い中国でたった1社しか生命保険会社はありませんでした。平安保険グループは改革・開放政策で最初に経済特区に指定された深圳で産声を上げ、その後中国の経済成長の波に乗って大きく飛躍し、今に至っています。アリババやテンセントなども含めて、今や世界のIT・オンライン業界は、これら中国企業とGAFAなどアメリカ企業に勢力が二分されていると言ってもいいでしょう。保険からIT・ヘルスケア・金融へと大胆にビジネスを作り上げていくスタイルは、まさに中国企業の勢いそのものを表しています。人口が世界一の中国マーケットでシェアNo.1の地位にあることは、世界シェアもNo.1であることとほぼ同義であり、実際にそのような中国企業は多数存在しています。中国と経済的な結び付きが強い日本にとっては、これからも中国企業の動向には注視していきたいところです。Resoryでは世界各地でマーケティング・リサーチ業務を行っています。今回取り上げた中国企業や中国市場については特に力を入れており、中国現地のエキスパートとの協業強化にも取り組んでいます。中国をはじめ海外現地でのインタビューやアンケートなどを通じて、海外の活きた生の情報をお客様にご提供させて頂いております。コロナ禍で自由な海外渡航が復活する見通しは、まだまだ立っていない状況です。そのような今こそ、是非ともResoryをご活用頂いて、皆様の海外マーケティングの一助として頂ければと思います。海外のマーケティング・リサーチと言えば、お気軽にResoryまでご相談下さい。