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2021.10.15

【ヨーロッパにおける感染症克服と公衆衛生】コロナ禍におけるヨーロッパの衛生対応

「伝染病は公衆衛生の母」と言われます。伝染病や感染症の発生によって、公衆衛生の重要性が認識されるようになることを意味しています。私たちは、今回の新型コロナをきっかけとして、マスクの着用・消毒・ソーシャルディスタンスの確保・換気の実施・密集場所を避けるなど感染症の拡大を予防するための様々な教訓を学んできました。まさに今、ウィズ・コロナの時代にあって、公衆衛生の大切さを日々学んでいると言えるのではないでしょうか。日本や欧米をはじめとする先進国では、都市や生活環境が清潔に保たれていることから、公衆衛生について、日常的に考えさせられることは少ないと思います。どちらかと言うと、発展途上国に限った問題と捉えられがちですが、新型コロナというパンデミックにあっては、世界が協力して取り組まなければならない課題となりました。今回の記事では、コロナ禍におけるヨーロッパでの衛生対応状況を取り上げてみます。過去にペストやコレラなど疫病で苦しんだヨーロッパの歴史にも触れながら、ご紹介したいと思います。 

「不潔」こそ清潔!?

ヨーロッパと言えば、誰もが美しい街並みを想像するはずです。綺麗な景観に憧れて、旅行する人も多いでしょう。現地の人々が、清潔さの行き届いた環境で暮らしているシーンが、目に浮かぶと思います。しかし、中世のヨーロッパでは、不潔こそが清潔であると信じられていた時代がありました。今からすると、全く考えられない状況です。この背景には、14世紀にヨーロッパで大流行したペストの発生があります。公衆浴場がペストの発生源とされましたが、風呂に入ると身体の毛穴が広がって、ウイルスや細菌に侵されると考えられたのです。この結果、風呂につかることが悪しき習慣とされて、お湯や水が憎むべき対象になりました。そして、顔さえも洗わないのが当然になり、いわば不潔の状態こそが清らかであると信奉される時代が、長らく続くことになりました。 

産業革命がもたらした公衆衛生 

一方で、18世紀の半ば頃になると、皮膚には呼吸機能があって、これをふさいでしまうと、二酸化炭素が排出されなくなり、身体に良くないという全く逆の発想が生まれました。したがって、今度は反対に、身体を清潔に保つことが奨励されるようになりました。しかし、長年にわたって入浴の習慣が消えてしまっていたことから、体を洗い、風呂につかることは、なかなか定着しませんでした。そして、ちょうどその頃、イギリスでは産業革命が発生しました。人々が都市に集中して生活するようになった結果、し尿が堆積して、道路などに投げ捨てられるようになり、都市の深刻な衛生問題に発展しました。これが19世紀のコレラなどの疫病の蔓延につながり、公衆衛生が確立されていく契機にもなったわけです。ロンドンでは、1855年に下水道工事に着手し、1863年に完成しました。その後、1914年には、イギリスで微生物を用いた最初の下水処理場ができて、汚水を浄化してから、河川に流せるようにもなりました。こうして、自分の身体や生活環境を清潔にすることが、当たり前の世の中へと変化していくことになります。

ヨーロッパの最新衛生対応状況

さて、話題を現代に戻しましょう。ジェトロが発表したコロナ禍におけるヨーロッパ主要国の飲食店や商業施設などを利用する際の衛生対応状況を以下にご紹介します。

ドイツ 

今年8月以降、コロナ感染者数の多い地域では、飲食店利用などの際にワクチン接種証明書・陰性証明書・回復証明書の何れかの提示が義務付けられています(2021年8月31日現在)。 

フランス

今年8月9日以降、飲食店や長距離の公共交通機関を利用する際、「衛生パス」の提示が義務化されました。また、8月16日からは、2万㎡超の商業施設への入場でも衛生パスを所持している必要があります。ちなみに日本で発行されるワクチン接種証明書は、衛生パス代わりにはなりません(同8月31日現在)。

イタリア

今年8月6日以降、飲食店の屋内利用の際には、ワクチン接種証明書・180日以内の回復証明書・48時間以内の陰性証明書の何れかを提示する必要があります。9月1日以降は、飛行機・高速鉄道・バスなどの交通機関の利用にあたっても、同様にこれらの証明書が求められます(同9月2日現在)。 

イギリス

今年5月17日より、飲食店の屋内営業が条件付きで再開されることになりました。そして、7月19日からは、全ての店舗で営業の再開が認められるようになりました(同7月27日現在)。 

ヨーロッパ各国とも、一般消費者が利用する店舗や施設において、徐々に正常な営業が戻りつつあります。ただし、ワクチン接種証明書などの提示が義務付けられている国が多いと言えそうです。

出典)ジェトロ https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/covid-19/europe/pdf/europe03b_list.pdf

エールフランスの取り組み

フランスを代表する航空会社・エールフランスの衛生対策について見てみます。エールフランスでは徹底した衛生措置により、新型コロナの感染防止に全力を挙げています。その取り組みは、関係方面からも表彰を受けており、利用者に安心感を与えてくれています。

  1. ①機内におけるサージカルマスクの常時着用の義務 
  2. ②ソーシャルディスタンスを確保するため、その掲示や床面にマークを設置
  3. ③チェックインカウンターにプレキシガラス製の保護スクリーンを設置 
  4. ④3分おきに機内換気。全機材にHEPA(高性能空気)フィルターを装備した空気循環システムを採用
  5. ⑤長距離路線便では衛生キット(除菌用ウェットティッシュ、サージカルマスク、除菌ジェル)を無料配布

まとめ

私たちはウィズ・コロナからアフター・コロナの時代に向けて、前進しつつあるはずです。新型コロナがもたらした公衆衛生に対する知識と経験は、将来また疫病や感染症が流行した際、必ず役に立つと信じたいところです。過去の歴史が教えてくれている通り、困難を乗り越えてこそ、人類の疫病への衛生対応力は高まっていくことでしょう。ワクチンなどの医薬品や生活環境を清浄に保つコロナ対策商品が、これから世界で次々と新開発されていくことに期待が持たれます。そして、新型コロナが終息した後も、公衆衛生や防疫を意識したビジネス活動に取り組んでいくことが重要ではないかと思います。そのためには海外現地でのマーケティング・リサーチは欠かせないものとなります。Resoryでは、そのようなお手伝いをさせて頂くことが可能です。お客様のご要望に応じて、世界各国の現場で活躍するエキスパートとのネットワークを駆使して、海外での調査やターゲット者へのインタビュー・レポートなどを提供させて頂いております。特にコロナ禍で海外に渡航できない今、是非とも弊社をご利用頂いて、海外の様々なマーケットにおける活きた生情報を入手して頂ければと思います。海外のマーケティング・リサーチをご検討されている方は、是非一度Resoryまでお気軽にお問い合わせ下さい。