BLOG 2021.08.25
自動運転とAIで世界をリードするアメリカとその座を狙う中国の猛追 世界最大のIT企業でもあるGoogle。同社はアメリカに母体のある企業であることも知られていますが、Googleとアメリカの自動運転に大きな変容が見られていることはご存知でしょうか。Googleはインフラに頼らない自立型の自動運転車による自動走行を目指してきたことも有名ですが、今はインフラ協調型を目指し始めているという話があります。母体のあるアメリカはというとスマートシティプロジェクトも大掛かりに取り掛かっていて、自動運転車専用レーンをデトロイトからアナーバーへ全長64㎞で建設する予定を公表しました。それを見越してかGoogle系企業であるCavnueはカナダにおけるスマートシティプロジェクトの一環として行われる自動走行レーンプロジェクトに積極的に参加するなど動きも加速しているのです。世界を先取り自動運転で覇権をとりたいアメリカですが、これを追いこさんとする勢いで急ピッチで進めている国があります。それは中国。5Gでも自動運転でも世界No1を目指している中国と、アメリカの自動運転業界はどうなっているのか、今後どうなっていくのか見ていきましょう。
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自動運転がどの程度できているのか示すために以下の基準が用いられていて、今後のお話にもでてくるので簡単にチェックしておきましょう。アメリカのSAE(自動車技術会)が定める以下の基準が世界水準と定められています。
自動運転レベル | 名称 | 主体 | 走行領域 |
0 | 自動運転化なし | 人 | - |
1 | 運転支援 | 人 | 限定的 |
2 | 部分運転自動化 | 人 | 限定的 |
3 | 条件付き運転自動化 | 車 | 限定的 |
4 | 高度運転自動化 | 車 | 限定的 |
5 | 完全運転自動化 | 車 | 限定なし |
運転主体が人から車に代わるのがレベルが2から3に上がる時、また走行領域が限定なしとなるのが自動運転レベル5であることがポイントです。運転主体が人にあるうちは「人の運転を自動運転機能がサポートする」ものであり、ドライバーは常に安全運転を管理しなくてはなりません。ですが運転主体が車に代わると仮にドライバーが全く進行方向を見ていなくても問題なく走行できるレベルという位置づけになっています。
中国は5Gの普及も進んでおり、すでにドライバーが運転しないロボットタクシーの商用化を2020年12月にスタートしています。自動運転で一躍有名となったアメリカのテスラですが、中国版テスラとも言われるニーオも最先端の自動運転技術を搭載した車種をスピード感をもって公表するなど、中国の自動運転技術の進歩と実用化のスピードには目を見張るものがあります。またアメリカはというと『2020年に自動運転車両を100万台以上生産する』と発表するなど、話題のテスラの発火事故が2021年6月末にも起こるなどまだ課題は残るものの、2021年にはフォードが自動運転レベル4の自動車を大量に市場に出す計画も。一般利用ではなくまずは配車サービスなどを中心に利用される見込みです。
ドイツはレベル3の自動運転車を世界に先駆販売したことで知られるアウディ、この車両は高速道路の一定条件をクリアしていれば運転操作のすべてを車が引き受けることができるというものでした(Audi A8/2017年)。続けてBMWが2021年にはレベル3.5のiNextを販売予定、メルセデスベンツも2021年Sクラスで自動運転レベル4となる新車を発表するなど積極的。またメルセデスベンツの技術責任者によれば「自動運転レベル4や5となる車両は高価になりすぎてしまい、市販車への技術採用は無理だ」と2017年にコメントを残している通り、ベンツで最高クラスとなるSクラスでの発表となっているのでしょう。
では日本はどうか?というと日本もトヨタがレベル4となるe-Paletteを2020年オリンピック開催時に公表する予定でしたが、2023年の導入を目指しているとされています。トヨタをライバル視するホンダも自動運転レベル3のレジェンドを2021年3月に販売開始。まだアメリカや中国には追いついてはいないものの、自動運転車の開発は急ピッチで進められています。
アメリカは自動運転技術の進歩に不可欠なAI分野においても、世界NO1の実力がある国、AI技術開発においてリードする企業・機関はアメリカに本拠地を構えるGoogleとなっています。AI技術を研究しリードする立場にある大学の多くもアメリカにあり、名実ともに世界をリードしているのはアメリカであると誰も認めざるを得ない状況にあります。AI開発にはソフトウェアを作り上げるためのアルゴリズム、それを組み込むためのハードウェア、そしてAIならではの訓練データが必要不可欠。No2の中国と比較してアメリカに分配が上がるのはアルゴリズムとハードウェア、中国は膨大なデータ量を誇る訓練データが強み。今後も中国をおさえてアメリカがNO1の座をキープするためには研究・開発への多額の投資が必要ではありますが不可能ではないという見立てもあります。
CASEとは日本語で”~の場合”で使うケースではなく、C(Connected:接続)・A(Autonomous:自動運転)・S(Shared & Service:シェアリングサービス)・E(Electric:電動化)の頭文字で、今後のアメリカの自動運転市場におけるキーワードです。環境問題のための自動車の電力化はかねてより進められていますが、それだけでなく車そのものが情報端末としての機能をもちエンターテイメントなどの機能拡充が期待されているというもの。プライバシー問題もあるものの、『自動運転が2035年までに今以上に自動運転車は普及する』と大手コンサルティング企業のアクセンチュアがスティーブンス技術研究所と共同でまとめたレポートで発表しています。
アメリカ交通省によれば98%は『ドライバーの運転ミスなどの人的エラーが事故の原因となっている』としており、自動運転が普及することで事故件数も大幅減少が見込まれ、その結果損害保険業界にも大きな変容が不可欠になるでしょう。ビジネスの視点からこのことを読み解くと、自動運転の普及により自動車関連の保険会社は今とは違う収入経路を確保すべきであり、そのヒントとなりうるのがCASEや事故以外の車の故障などの保障といった部分ではないでしょうか。また先のメルセデスベンツの技術責任者のコメントにもヒントが隠されています。事故を減らし安全な交通を実現するには”より高度な自動運転技術が普及すること”が重要ですが『レベル4/5の自動運転車は高価すぎて市販化が難しいのではないか』、この言葉は実際その通りでもあり、本当の意味での自動運転の普及のための新しいサービスとして、新しい車の持ち方としてライドシェアリングも注目されていくことが考えられます。新しいビジネスモデルとしてこのあたりをヒントにしながらマーケティング戦略を立てていくことで先の将来に企業としての成長を見込めるのではないでしょうか。
世界の様々な事柄が大きな影響を受けた2020年・2021年を経て、この先の時代も企業として成長していくためのヒントをお伝えしてきました。自動運転技術とその実用化の面では日本はまだまだではありますが、その先を予測し先回りすることで数年・数十年後の成功を手にすることができるはずです。そのためにも今のアメリカの状況はどうなっているのか、この先に足りていないものはなにか、この先の時代でニーズがでてくるものはなにかを模索することこそ、マーケティング戦略上欠かせないもの。
ここでお伝えしたように自動運転が普及するためにはまずAI技術の革新は必須、それを盛り込むためのハードウェアも必須、AIを成長させるための訓練データも必須。それと合わせて保険業界の革新も求められる時代になり、自動車の保有形態にも変化が見込めることもお伝えしました。それだけではありません。今これから何をするか、どの方向性に進んでいくか検討するならまずは現地の状況を正しく把握することも大切です。言うだけなら簡単ですが日本で活動する企業にとって現地の情報を正しくリアルタイムに把握するこは容易ではありません。
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