BLOG 2021.07.23
今後の輸出やアウトバンド消費のための戦略を立てるにあたり、今後中国に向けてどのような商品を打ち出していくか悩んでいらっしゃる方もいるのではないでしょうか。 中国では2060年のカーボンニュートラル化を目標に掲げています。これはSDGsにもつながる世界的な目標でもありますね。 人が多く車が多い中国でのカーボンニュートラル化は簡単なものではないことは外から見ていても想像できますね。
もちろんこれには車だけでなく産業や輸送においても重要ですし、見落としがちな意外な業種においてもその対策が重視されてきているのです。 ここでは中国に向けて今後有効と思えるカーボンニュートラル化に寄り添えるアイディアを、現状と目標を踏まえて考察してまいります。
カーボンニュートラル化に寄り添った商品・サービスは中国のみならず欧米に対しても重要な存在となっていくもの。 日本に一番近いビックマーケットである中国を舞台に、まずはどのような攻略法があるか検討していきましょう。
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上記の図は世界のエネルギー起源温室効果ガス排出量の推移(1990~2016)についてのグラフですが、他国が減少傾向にあるなかで、大きく躍進してしまっているのが中国の現状。 カーボンニュートラル化にはまずGHG(温室効果ガス)の排出を抑制することが重要課題とされ2016年に発足したパリ協定でも課題として取り上げられています。 GHGにはものを燃焼させることで発生する二酸化炭素をはじめ、メタンガス・フロンガス・一酸化炭素も含まれていますが、中でも地球環境に深刻な影響を及ぼすとされているのが二酸化炭素、次いで人間の活動により増加したメタンガスです。 特に注目される二酸化炭素についてはEDMC『エネルギー・経済統計要覧2019年版』によると2016年時点で排出量世界一とされている中国(2位のアメリカの2倍近くを排出)、2060年のカーボンニュートラル化には多くの課題を抱えている国と表現することもできるでしょう。 また同じくEDMC『エネルギー・経済統計要覧2019年版』によると国民一人について排出量では中国はなんと世界6位、日本のほうが2ランク上という結果。 ここから考えると一人一人の二酸化炭素排出量よりも中国においては産業や輸送などで排出される二酸化炭素が問題になっていると考えることもできます。
中国は世界最大規模の自動車市場ともいわれていて、確かに2010年と比較して2020年時点では約4倍の保有率(2億3500万台)へ成長しているというデータもあります。 ただしこれはあくまで『人口の18%が保有しているに過ぎない』ともされていて、今後伸びしろのある市場であることも見逃せないポイントではあります。 エリアによって貧富の差が激しいことも中国の特徴でもあり、自動車市場で勝負をかけるならターゲットを見極めたマーケティングと商品展開がカギになるでしょう。 またたった18%しか車を保有していない中国ではありますが、それでもGHG排出量は世界トップ。 一般家庭で使用されている自動車だけでなく、輸送に用いられるトラックなどに対してもカーボンニュートラル化に向けた対策が求められているということでしょう。
車・トラックに対するカーボンニュートラル化対策はもちろん重要です。 製造から再利用までの流れの中でGHG排出量を抑えていくということは容易ではありません。 実はここにもう一つビジネスチャンスが隠れています。 それは…「LCA = ライフサイクルアセスメント」により二酸化炭素などの排出量を評価する部分です。 ただ抑えているだけでは実態を測れず、本当に効果が出ているのかわかりませんがそれを明確に視覚化するためにLCAの需要増加も見込めます。 LCAは自社内で取り組むこともできますが日本においても大手企業などは第三者に委託することで信ぴょう性の裏付けと効率化を図っている現状がありますから、中国市場に対してもアピールの余地はあるでしょう。
中国のIT企業は再生可能エネルギーの活用やエネルギー効率それらの情報開示などの取り組みも活発化してきています。 2021年4月に行われた環境保護団体による「クリーンエネルギー推進策」の評価で国内1位となったのは「テンセント(騰訊控股)」でした。 中国のデータセンターは石炭火力発電に依存した部分が大きいため、IT企業においてもカーボンニュートラル対策は重要とされています。
中国人旅行者によるインバウンド消費で有名なのが、家電をふくむ爆買いです。 特に日本家電はその品質とアフターフォローの良さとブランド力で、比較的高所得層の中国人に支持されています。 家電の中でも冷蔵庫やエアコンなどに欠かせない冷媒ともなるフロンもGHGですし、当然家電を動かす際に利用される電気を作り出す際にも多量のGHGが排出されていることは忘れてはいけません。 これら家電においても”省エネ性能の高いもの=カーボンニュートラル化のにつながるも”として、より支持されやすい状況になってきているということもポイントになるでしょう。
自動車や家電製造の際に原料となる粗鋼の製造についてもカーボンニュートラル化の影響が出ており、中国鋼鉄工業協会は2020年・2021年のタイミングで”これまでの鉄鋼過剰生産能力の解消と生産量の減少についての研究を行い実行していく”ことを発表しました。 これによりよりCO2排出量の多い高炉を使用する企業の粗鋼製造量に制限をかけ、CO2排出量が抑えられる電炉を使用する企業には制限しないとしています。 ここにも日本企業にビジネスチャンスとなる内容があります。 それは「自給自足にこだわってきたがカーボンニュートラル化への対応も含め減産し、不足したものは輸入により補う」としている点。 日本貿易機構JETROの発表によれば2020年の時点で中国からの輸出量は18%ほど減少し、その反面輸入量は74%ほど増加しています。
ここまで中国におけるカーボンニュートラル事情をお伝えしてまいりました。 自動車に始まり、製造業・輸送業と中国だからこそより深刻な課題となっている部分もご理解いただけたでしょう。 中国へのアウトバンドでも一定以上の支持を集める家電市場においても勝機となるポイントがあります。 出来上がった製品そのものだけでなく、LCA(ライフサイクルアセスメント)の部分においても、また原料となる粗鋼についても大きなビジネスチャンスが隠れていました。 ここまでお伝えしてきた情報は間違ったものではありませんが、これだけでは中国というビックマーケットを攻略することは難しいのです。 足りないものは何か…それは『現地の生の情報』です。
Resoryでは中国在住のマーケティングエキスパートとのネットワークがあります。 そのためこれまでも一般論としてのマーケティング結果ではなく、現地にいるからこそ見えてくる情報や声を反映した『生きた情報』をお届けすることで企業様によりよい商品・サービス提供のサポートをさせていただいた実績があります。 日本からもマーケティングはできますが、より魅力的な商品・サービスとするためには「現地で暮らす人の声・ライフスタイル」を把握することは最優先課題。 まだどのような賞品・サービスが求められているかということだけでなく、「どのようなところにアピールするのが効果的か」ということもマーケティング戦略として欠かせないポイント。
Resoryのエキスパートネットワークを活用することで、情報大国でもあり移り変わりの速い中国の”今”に即したマーケティング戦略を立てることができます。 魅力的な商品・サービスを開発し、その商材にあった最適なアピールを行うこと、海を隔てた土地の今を的確に把握できるからこそ最適なマーケティング戦略を展開しましょう!