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NEW 2021.10.11

【いよいよ欧州経済復活へ!動き出したEU復興計画】アフターコロナ時代への新たな道のり

2020年初頭から世界で猛威を振るう新型コロナ。今年に入ってから、ワクチンの接種が少しずつ進み、感染者の爆発的な増加には、歯止めがかかりつつあります。しかし、世界経済がコロナ前の水準に回復するには、まだまだ道半ばといったところです。昨年2020年を振り返ってみると、今年7月にIMF(国際通貨基金)が発表したデータによれば、実質GDPの成長率は、世界全体で-3.2%、日本-4.7%、中国+2.3%、アメリカ-3.5%、ユーロ圏-6.5%と、中国を除いて世界の主要国が軒並みマイナス成長という結果になりました。特にイタリアやスペインなど欧州は、新型コロナ発生当初から感染者が急増したこともあって、経済的なダメージを大きく受けました。今回の記事では、欧州に焦点を当てて、EU(ヨーロッパ連合)の経済回復に対する取り組みや、コロナ禍におけるEU主要国の状況などにも触れながら、解説していきたいと思います。 

EU経済復活のカギは「内需」にあり! 

今年7月30日、欧州産業連盟は、EUの2021年と2022年の実質GDP成長率をそれぞれ+4.4%、+4.6%という見通しを発表しました。EUの主要貿易相手国である中国やアメリカが、いち早く経済を回復させつつあることから、輸出が大きく伸びていると現況について述べています。実際に2020年10月から2021年6月においては、2019年平均を10%以上も上回るなど回復の兆しが鮮明になってきています。しかし、一方で「内需」については、2021年第1四半期で、コロナ前の水準よりも10%近く下回っています。EU経済全体が回復するには、輸出だけではなくて、内需を底上げしていく必要があると欧州産業連盟は指摘しています。内需が落ち込んでいる背景を見てみると、2021年第1四半期の失業率は7.2%で、コロナ前の6.5%を大きく上回っている状況にあります。失業率の増加は、収入の減少をもたらし、その結果として消費が冷え込んでいます。その反面、貯蓄率は2019年の12.9%から2020年は19.5%に上昇しています。貯蓄を消費に回して、いかに内需を盛り上げていくかが、今後の経済復活のカギを握っていると言えるでしょう。

EU復興基金の創設

EUはコロナ禍で傷んだ経済を立て直すために、「復興基金」の導入を決めました。これは最大7500億ユーロに上るもので、EU名義の共同債券を発行することによって、その財源を市場から調達できるというものです。復興基金の活用にあたっては、EU加盟国が「復興計画」を欧州委員会に提出し、EU理事会の審査と承認を経て、予算執行が可能となります。今年5月末時点では、EU全27加盟国のうち、22の加盟国がすでに復興計画を提出しています。復興計画においては、調達した資金の最低37%以上を気候変動の対応に、そして最低20%以上をデジタル化の対応に割り当てることが義務付けられています。単純にコロナ前の経済状況に戻すだけではなく、アフターコロナを見据えた持続可能な社会の実現に向けた取り組みが求められています。ちなみに復興基金7500億ユーロは、イタリアが最も多くて約2090億ユーロ、次いでスペインに約1400億ユーロが分配される予定となっています。

経済再建に向けたEU主要国の取り組み

ここでEU主要国の経済再建に向けた具体的な取り組みや現在の状況について、見てみたいと思います。これからの欧州ビジネスのヒントとして、とらえて頂ければと思います。

ドイツ

  1. ドイツはフランスと共同発表した復興計画の中で、水素・マイクロエレクトロ二クス及び通信技術・クラウドデータ処理における「欧州の共通利益に適合する重要プロジェクト」(IPCEI)の立ち上げをコア戦略として位置付けました。
  2. 気候変動に対応したモビリティーとデジタル化の加速をうたった「未来パッケージ」を発表。この計画に基づいて、電気自動車の購入補助やモビリティーインフラの拡充、水素戦略の推進を支援していきます。

フランス

  1. 持続可能な経済への移行などを提唱して、総額1000億ユーロの復興策を打ち出しました。
  2. 連帯基金による支援金の給付を開始(日本の持続化給付金に相当)。2020年12月より全業種が給付の対象になりました。 
  3. Eコマースの拡大に伴う「クリック・アンド・コレクト」(オンラインで事前購入した商品を店舗で受け取る)やコンタクトレス決済が普及しつつあります。

イタリア

  1. 復興計画の中で、デジタル化・グリーン革命・持続可能なモビリティーインフラ・教育と研究・包摂と結束・健康の6つの領域について、重点的に取り組んでいくことを表明しました。特にグリーン革命に全体の30%と最も多くの復興資金を割り当てて、再生エネルギーや水素の利用拡充を図っていきます。
  2. 復興計画を実施した場合、2026年のGDPは実施しない場合と比較して、3.6ポイント押し上げられるという見通しを立てています。 

スペイン

  1. 企業支援策として、企業の資金繰り支援・レイオフ(復職を条件とした一時帰休)の適用対象者の拡大と延長・ミニマムインカム制度(生活困窮に陥った個人事業者などを対象とした最低所得保障)の導入などが実施されています。
  2. 2020年10月より、「リモートワーク法」が施行。在宅勤務に関して、雇用者と従業員の義務と権利を定めました。
  3. 週4日制労働の導入などに向けて、政府が働き方改革を検討中です。

ポーランド

  1. 「労働・開発プラン」を策定。この中で、補助金支給による企業支援・経営難に陥った企業への専門家による経営指導・スタートアップ支援や投資誘致計画などを含む景気刺激策の実施をうたっています。 
  2. EC市場が拡大を続けており、ポーランドの倉庫を利用する企業の70%が国外輸送を行っています。つまり、ポーランドが、越境ECの物流ハブとして、国際的な倉庫の拠点になっており、注目が集まっています。

待望されるサービス消費の回復

前述の通り、欧州経済の回復は内需、つまり「消費」にかかっていると言えます。どこの国も同じですが、コロナ禍の打撃を強く受けた業界としては、飲食業、旅行業、航空業などが挙げられます。スペインの場合は、観光産業のGDPに占める割合が約12%で、サービス消費に依存する経済構造になっているため、このような国では、特に甚大な経済的損失を被ることになりました。今後コロナが終息に向かうに連れて、国境を越えた移動や飲食店での営業に対する制限が解除されて、消費が徐々に正常化していくこと、そしてコロナ禍の反動によって、飛躍的に増大することが期待されます。そのためにもEU各国が、「復興計画」で定められたグリーン経済やデジタル化への投資を着実に実行して、成果をあげていくことが必要と言えるでしょう。

まとめ

EU各国の復興計画への着手は、欧州事業に関わる企業やビジネスマンにとっては、ビジネスチャンスでもあります。EU経済の復活を信じて待ちたいところですが、あらゆるサービス業やそれを支えるデジタルビジネスが、今後ますます活発に動き出してくることは間違いないでしょう。そして、そんな今こそ、新たなビジネスチャンスを逃さないために、欧州のマーケットリサーチを実行しておく絶好の機会とも言えます。Resoryでは欧州はもとより、海外各地で活躍するエキスパートと連携し、現場の情報や業界動向などをリアルタイムに入手して、お客様にお届けするサービスを展開しております。海外のリアルなマーケティング調査をご希望される方は、是非一度Resoryまでご相談下さい。皆様の海外ビジネスのお役に立てるものと思います。