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2021.10.06

世界で進行するスマホアプリへの規制!

スマホ社会になってから、10数年が経とうとしています。今やスマホは日常生活や仕事の上で、なくてはならない必須のアイテムです。お年寄りから子供まで、スマホを持たない人は、皆無と言ってもいいのではないでしょうか。様々なアプリが登場したことで、私達はいつでもどこでも便利なサービスを享受できるようになりました。しかし、一方で、スマホの普及に対する弊害にも目を向けることが重要だと思います。アプリ決済による金銭トラブル、未成年者のオンラインゲームへの依存症、有害サイトの氾濫、そして最近はアプリストアそのものに対する規制強化の動きも出始めています。ユーザーとしては、スマホの利便性の裏側にある事情について、知っておきたいところです。今回の記事では、日本や海外でのアプリ規制をクローズアップして、スマホアプリを取り巻く現状を考察してみます。

日本・「割り勘アプリ」が規制対象に

先ずは日本における身近なアプリ規制の事例について、見てみたいと思います。皆さんは「割り勘アプリ」をご存知でしょうか?これは宴会やパーティーの時に、幹事に代わって、参加者の飲食代などの費用を収納代行するという便利なアプリです。このアプリを利用すれば、幹事は参加者から個別に参加費を集める手間が省けますし、参加者の支払い状況をアプリ上で一元管理できます。参加者も簡単にアプリ決済できるというメリットがあります。ところが、2020年6月に成立した改正資金決済法において、このような割り勘アプリのサービスが、「為替取引」に該当すると見なされて、事業者に資金移動業者としての登録を求めていくことが明確になりました。為替取引とは、ある両者間で現金を輸送することなく、資金を移動させる仕組みのことで、本来は、銀行のような金融機関に認められる行為です。資金移動業者になると、資産保全義務を履行する必要もあり、単に便利なサービス業者という立場ではいられなくなります。今回の法改正による規制の導入は、割り勘アプリに対して、より透明性の高いサービスの提供が要求されていくことを示しています。したがって、資金移動業が未登録の割り勘アプリは、今後当局から摘発を受ける可能性があり、利用者側も注意しなければなりません。 

中国・未成年者のオンラインゲームは週末限定に!

中国では、未成年者にとっては何とも残念なニュースが、今年の8月30日に政府当局から発表されました。未成年者がオンラインゲームをできる時間帯に関して、金・土・日・祝日の各午後8時から9時だけに制限するという新たな規制です。これは明らかに未成年者のゲーム依存症への対策と言えるでしょう。また、オンラインゲームの事業者側にもユーザーに対して実名登録させることが求められ、未登録者へのサービス提供を禁止する内容となっています。2020年の中国におけるゲーム市場は、コロナ禍による巣ごもり需要も手伝って、対前年比で21%増の約2787億元あまりに達しました。そのうち約80%近くがスマホゲーム関連で、今回の規制が関連市場に与える影響はかなり大きいと見られています。

韓国・独占的アプリストアにメスが入る! 

今年8月31日、韓国議会はアップルやグーグルが、従来よりアプリ開発者に対して独自の決済システムのみの使用を強制してきたことに対して、規制をかける法案を可決しました。これまでユーザーからアプリ開発者への支払いは、前述のアプリストア運営企業によって、アプリ内課金による決済が義務付けられていました。今後、韓国のアプリ開発者は、他の支払いオプションも選択することができるようになり、アップルやグーグルの独占的地位による不当な行為にメスが入ったと言えるでしょう。「反グーグル法」とも呼ばれるこの法案は、昨年8月に議会に提出され、法制化が実現すると、世界初のアプリ内課金を禁止する法律となる見通しです。韓国が一石を投じたこの動きは、世界各国にも波及するかもしれません。 

アップルとグーグルのアプリストアを巡る論争

世界のアプリストアは、アップルのApp StoreとグーグルのGoogle Play Storeによって支配されているといっても良いでしょう。ここで2つのアプリストアを巡る昨今の論争について、触れておきたいと思います。 

アップル 

今年8月26日、アップルは複数のアプリ開発者による集団訴訟で、和解したことを発表しました。この訴訟はアプリ開発者に対する年間登録料や最低価格の義務付けなど、App Storeの慣行が独占禁止法に違反していると主張するものです。アップルはこの和解の中で、①アプリ開発者がユーザーとApp Store以外での支払いオプションを持てること②アメリカの小規模アプリ開発者に対して1億ドルの基金を設立すること③2021年1月1日から実施している手数料を下げるプログラム(小規模事業者がApp Storeに支払う手数料を従来の30%から15%に引き下げる)を向こう3年間維持することなど、アプリ開発者へのメリット供与を提案しました。韓国でも規制対象となった①については、欧州でも論争を巻き起こしており、アップル側はグローバルに実施していくと表明しています。 

グーグル

今年7月7日、グーグルがそのアプリストアで支配的な立場を乱用したとして、アメリカのカリフォルニア州連邦地裁において提訴されました。グーグルのGoogle Play Storeを巡っては、イギリスとオーストラリアの独禁法当局も調査を行っています。原告によれば、グーグルが他のアプリストアがシェアを伸ばさないように、複数の手段を講じているとして、その独占的地位の乱用を指摘しています。グーグル側は、「今回の訴訟は、金も払わずにGoogle Play Storeのメリットを手に入れようとする少数の大手アプリ開発者を助長するだけで、ユーザーを保護することにはならない。小規模なアプリ開発者のコストが増加して、競争力が低下する」などと反論しています。ちなみにグーグルもアップルと同様に、現在アプリストアへの手数料を30%から15%に引き下げる措置をとっています。 

まとめ 

スマホアプリやアプリストアに対する規制は、今後も手を変え品を変えて、世界各地で実施されていくでしょう。日常生活や仕事からスマホを手放せなくなり、かつこの世界の進歩は速いだけに、使用頻度の高いアプリについては、その動向や規制などに注意を払っておきたいところです。スマホアプリに国境はありませんが、海外のアプリ事情については、こと情報不足に陥りがちです。そのような時、Resoryは皆様のお役に立てるものと考えております。Resoryは、世界各地の現場で活躍するエキスパートとのネットワークを有しています。海外のあらゆる市場や業界の新鮮で生きた情報をエキスパートと連携して入手することが可能です。海外のリアルな情報をご希望される方は、是非一度Resoryまでお気軽にご相談下さい。